2008/4/15

平成19年度 家畜輸出入に関するセミナー 要旨

 「平成19年度 家畜輸出入に関するセミナー」が、平成20年3月27日(木)13時30分から、森永プラザビル (東京都港区。場所詳細:Yahoo-Map) にて
行なわれました。

家畜衛生をめぐる内外の情勢
農林水産省 消費・安全局 動物衛生課 課長補佐 大友 様
<www.maff.go.jp/syouan/index.html>
大友 様
動物検疫所の次期システムについて
農林水産省 動物検疫所 調査課長 酒井 様
<www.maff.go.jp/aqs>
酒井 様

家畜のサルモネラ症と防除対策


株式会社 科学飼料研究所 技術顧問 佐藤 様
<www.kashiken.co.jp>
佐藤 様



1.サルモネラの分類と血清型 (2008年7月現在)

亜種血清型数
Salmonella entericaenterica1,504
salamae502
arizonae95
diarizonae333
housemate72
indica13
Salmonella bongori22
2,541

2.サルモネラ症の疫学的特徴

  • 病原体(サルモネラ)は, 人,家畜・禽,野生動物,自然環境に広く分布(飼料も汚染)
  • 保菌動物による排菌が感染源
  • 感染動物との接触,汚染飼料・飲水,汚染環境などから感染(水平伝播)
  • 鳥類は介卵感染,哺乳類では産道・乳汁感染(垂直伝播)
  • 発症は主に幼獣,成獣は複合感染栄養障害,ストレスなどによる抗病性低下で発症
  • 3.サルモネラの感染環と伝播 (※図2,3)

    (※図2)
    (※図3)

    4.サルモネラの増殖に及ぼす温度と時間 (※図4)

    5.ヒトと牛由来サルモネラ(上位5血清型) (※図5)

    6.家畜・家禽のサルモネラ症

    血清型馬*
    水牛,鹿

    いのしし
    鶏,あひる,
    うずら,七面鳥
    Pullorum(SP)    
    Gallinarum    
    Enteritidis(SE)  
    Typhimurium(ST)
    Dublin(SD)  ○?○?
    Choleraesuis(SC) ○?○?
    Abortusequi    
    * 馬パラチフス
    ●:法定 / ○:届出 / ?:症例は無・希


    牛のサルモネラ症

    7.牛のサルモネラ症

    ・症状:
    発熱,食欲不振・廃絶,軟便,水様下痢,血便,ときに呼吸器症状,泌乳量減少・停止(搾乳牛),
    流・早産(妊娠牛),敗血症死(ST以外の血清型の症状は症例により不定)
    死亡率10〜20%ときに50%以上
    ・病変:
    急性敗血症;心冠部・肺の出血、脾腫

    慢性下痢症;脱水症状、カタール性偽膜性腸炎(小腸壁のひ菲薄化・充出血、悪臭・黄白色
    ないし褐色水様〜泥状物),腸管膜リンパ節うっ血・浮腫、ときに黄疸、肝・腎の小壊死巣、
    肺の限局性肝変化

    8.搾乳牛群のST感染症における乳量と発症牛頭数の推移 (※図6)

    9.牛のS.Dublin感染症の疫学 (※図7)

    10.英国における牛のサルモネラ症発生状況 (※図8)

    11.英国の乳用牧場のおけるサルモネラの分布 (※図9)

    12.米国における牛由来サルモネラ血清型 (※図10)

    13.我が国の牛サルモネラ症発生状況(1965〜1988) (※図11)

    (※図11)

    14.日本における牛のサルモネラ症発生状況

    • 届出牛サルモネラ症:
        毎年,約100戸の農場から500頭前後の発生報告あり
    • 子牛のサルモネラ症:
        肉用牛子牛のSD感染症例が主体,容易に発症し,早期発見,対策実施が可能なので
        感染率は低く,カーフハッチによる個体管理の普及で伝播は抑制されている傾向
    • 成牛のサルモネラ症:
        搾乳牛のST感染症が主体で1990年代に全国的に急増(STDT104感染症例も含め),
        ST以外の血清型(SDを含む27血清型)の症例も散発

    15.牛の届出サルモネラ症の年次別発生状況 (※図12)

    16.成牛のサルモネラ症からの検出血清型(1984-2003) (※図13)

    17.乳用牛と肉用牛の年齢別感染率 (※図14)

    18.乳牛におけるサルモネラ症の発症誘因

    • 高蛋白・高エネルギー飼料の過給
    • 粗飼料の不足
    • ルーメン機能の失調
    • 環境汚染サルモネラによる感染増加
    • (発症牛の下痢便中には100万個</gのサルモネラ)
    • 暑熱、分娩、高泌乳などのストレスによる免疫機能の低下

    19.サルモネラ症の発症誘因 (※図15)

    20.育成子牛への給与飼料の種類が
       糞便中のサルモネラ排菌率に及ぼす影響 (※図16)

    21.牛のサルモネラ症の予防対策

    • 導入牛の隔離飼育と糞便検査
    • 飼養施設への立ち入り制限
    • 衣服や履物の交換、手指の消毒
    • 野鳥やネズミの防除
    • 飼育施設や運動場などの消毒励行
    • 給与飼料の適正化
    • サルモネラワクチンの応用(汚染農場での発症防止)

    22.牛のサルモネラ症防除対策例 (※図17)



    豚のサルモネラ症

    23.豚のサルモネラ症

    ◆症状:
    ・急性腸炎:発熱,食欲減退,悪臭下利便,ときに発咳(肺炎),削痩,多くは敗血症死
    ・慢性腸炎:類似の症状を呈するが,死亡率は低く,発育不良(ヒネ豚)となる
    ◆病変:
    消化器粘膜の充出血,腸管膜リンパ節の腫大,充・出血,肝の腫大・灰白斑(チフス結節)
    散在,肺炎,ボタン状潰瘍(慢性腸炎),脾腫(敗血症)

    24.英国における豚のサルモネラ症発生状況(2002-2006) (※図18)

    25.米国における豚由来サルモネラ血清型(2000,2006) (※図19)

    26.日本における豚のサルモネラ症の発生状況

    ・届出サルモネラ症:
    2000年以降,発生農場数約30戸から50戸に増加傾向,頭数は年約200から2,400頭程度
    ・Choleraesuis(SC)による敗血症:
    従来は100日齢前後に発生,1990年代以降は,PRRSウイルスやサーコウイルスなどとの
    混合感染した若齢豚の死亡率の高い症例も発生,地域的に汚染拡大傾向
    ・Typhimurium(ST)による下痢:
    離乳豚では,肺炎や敗血症例も発生

    27.豚の届出サルモネラ症の発生推移

    県数戸数頭数
    199861018
    19991426118
    200014271,079
    200118492,389
    20021754643
    県数戸数頭数
    20031948218
    20042368403
    200527116437
    2006281541,166
    (動衛研ホームページより)

    28.豚の下痢便由来サルモネラの血清型 (※図20)

    29.豚のサルモネラ症の対策

    • 侵入防止(導入豚, 飼料,人、器材、ネズミ、野鳥、対策など)
    • 衛生管理の改善(基礎疾病のコントロ−ル)
      PRRS、オーエスキー、サーコなどの防除(ワクチン接種)、オールイン・オールアウトの実施、
      飼育密度・換気の適正化、洗浄・消毒、石灰塗布、衣服・長靴の交換、器材の専用化
    • ストレス低減(飼料腐敗,温度調節,換気、移動)
    • 若齢豚群の感染防止
    • 離乳期子豚の伝播防止を考慮(作業動線・衛生管理)

    30.デンマークにおけるヒトの豚肉由来サルモネラ症の発生数
       (10万人当たり)の年次推移(1988-2004) (※図21)

    31.デンマークにおける豚由来サルモネラ血清型 (※図22)

    32.デンマークの養豚業におけるサルモネラ対策−1

    • 飼料:配合飼料と製造工程の細菌検査、配合飼料の81℃加熱処理によるサルモネラ除去
    • 種豚・繁殖場:毎月全豚群のサルモネラ抗体検査、抗体価によりサルモネラ指標を算出、
      指標5<の群は糞便のサルモネラ検査、農場主は購買者にサルモネラ汚染の存在を告知
    • 子豚生産者:母豚群農場主はサルモネラ汚染レベルが2ないし3の肥育豚農場に子豚を
      出荷する場合は、母豚群の糞便についてサルモネラ検査を実施

    33.デンマークの養豚業におけるサルモネラ対策−2

    農場のサルモネラ汚染レベル
    (過去3ヶ月以内の抗体陽性率による)
    課徴金
    レベル1 : 0〜39.9% 0%
    レベル2 : 40.0〜69.9%2%
    レベル3 : 70.0%< 4〜8%(レベル3の月数による)

    34.デンマークの養豚業におけるサルモネラ対策−3

    • 肥育豚農場:年間200頭以上の生産農場では定期的にサルモネラ抗体検査を実施、
      経費はと場(農場)負担
    • レベル1認定農場(と殺豚指標0で、少なくとも過去6ヶ月以内のサルモネラ抗体が陰性);
      食品衛生上の安全性が高いので, 検査試料の特例提供(毎月1検体)を認可
        しかし、この検査試料が陽性なら毎月豚群の頭数に応じて5-8検体の検査に変更

    35.デンマークの養豚業におけるサルモネラ対策−4

    レベル2および3認定農場:
    糞便のサルモネラ検査(20サンプル)を実施、血清型を確認、最近6ヶ月以内に購入した
    子豚の生産農場を公的機関に申告し,当該農場の豚群のサルモネラ検査を実施
    レベル3認定農場の出荷豚のと殺:
    と体の交差汚染を避けるため, 特定の処理場で,日程の最終に実施, と体は80℃熱湯で
    14-16秒洗浄。「と体検査:5頭の胸骨,臀,頬の各10x10cm2サルモネラ陰性と体は食肉として販売可」


    JLTA 事務局から
    株式会社 科学飼料研究所は、科学飼料研究所WEBサイト にて各種情報を公開しています。
    (※図1)






    (※図4)


    (※図5)


    (※図6)


    (※図7)


    (※図8)


    (※図9)


    (※図10)


    (※図12)


    (※図13)


    (※図14)


    (※図15)


    (※図16)


    (※図17)


    (※図18)


    (※図19)


    (※図20)


    (※図21)


    (※図22)