2016/ 5/25 更新

平成27年度 家畜輸出入に関するセミナー

平成28年3月16日(水)、「平成27年度 家畜輸出入に関するセミナー」 を開催しました。


開催にあたって
 昨年の10月、TPPが合意されました。今後、発効に向けて加盟国の手続きが進められることになっています。 国は、我が国の畜産への影響を少なくするために、総合的なTPP関連政策大綱を取りまとめ、 平成27年度補正予算や28年度概算決定予算にその諸対策を盛り込んでいます。 一方、肉用牛、乳用牛ともに国内の生体取引価格の高止まりが続いています。畜産農家の皆様にとって、 この生体価格高は深刻で、海外産牛の輸入について私たち協議会メンバーへの相談が急激に増えています。 申し上げるまでもなく、家畜の輸入につきましては、家畜の資質のほか、現地価格、相手国での輸出検疫、輸送、 日本での輸入検疫等についてコスト面を含め総合的に検討する必要があります。私たち協議会のメンバーは、 畜産物需給や消費動向、海外情勢や為替動向、更には国内の生産者のニーズを今まで以上にタイムリーに把握し、 輸入生体家畜の国内供給を通して我が国の畜産振興に寄与して参りたいと考えています。
 さて、申し上げ上げるまでもなく、畜産物の供給を阻害する要因のひとつに家畜の伝染性疾病があります。 現在、攻めの農林水産業のための諸対策が積極的に進められています。畜産物の輸出促進に際して農林水産省では、 相手国との動物検疫協議を続けています。この協議では、輸入国の時とは立場が変わって、 相手国の厳しい条件のハードルを低くさせることがポイントと聞いています。そうした中で、一旦、 家畜の伝染病が確認されれば畜産物の輸出が阻害されることになります。幸いなことに、関係者の皆様の不断の努力により、 重大な家畜の伝染病の発生はありませんが、海外では、高病原性鳥インフルエンザ、口蹄疫、 アフリカ豚コレラなどが近隣諸国を含む多くの国で継続的又は断続的に発生しています。 我が国へ侵入するリスクは極めて高くなっており、動物検疫所による徹底した水際対策が展開されています。
 当協議会では、畜産や家畜の疾病、動物検疫などをテーマとして、 毎年家畜輸出入に関するセミナーを開催してきていますが、本日は、「世界のサラブレッド登録と競馬」と 「動物検疫の歴史と今」を演題として、お二方の講師に講演をいただくことにしています。 この度のセミナーを皆様の知識の向上と業務遂行に役立ていただくようお願いし、開催に当たっての挨拶といたします。
平成28年3月   一般社団法人 日本家畜輸出入協議会
理事長 野澤 毅一郎


清水 氏

「世界のサラブレッド登録と競馬について」

(公財)ジャパン・スタッドブック・インターナショナル
登録部調査役(アジア血統書会議事務局長)清水 恭 氏

■主な内容
●サラブレッドとは?
・サラブレッド登録の歴史
・サラブレッドの定義
・血統書(スタッドブック)
・国際血統書委員会とアジア血統書会議
●日本でのサラブレッド登録
・日本における競走馬の一生
●サラブレッド競馬に関する国際組織
・国際競馬統括機関連盟
・国際競馬統括機関連盟のメンバー国
・2014年度各国賞金額
・2000~2014年までの生産頭数の推移
・生産、競馬、および賭事に関する国際協約
●世界のサラブレッド競馬
・凱旋門賞
・ドバイワールドカップ
・香港カップ
・ジャパンカップ
・メルボルンカップ
・ブリーダーズカップクラッシック
■資料のダウンロード:「 世界のサラブレッド登録と競馬について 」 [PDF 約7MB]

小倉 氏

「動物検疫 - その歴史と今 - 」

農林水産省 動物検疫所 所長 小倉 弘明 氏

■主な内容
・主な家畜の伝染病
・家畜の伝染病を防ぐ体制
・動物検疫所の沿革
・日本での家畜防疫のはじまり
・家畜防疫のこれまで(明治から平成)
・動物検疫に関する法規の変遷
・明治~昭和初期の動物検疫施設
・大正から昭和にかけての動物の検疫頭羽数
・動物検疫中の伝染病摘発と対応例(大正、昭和)
・動物検疫所の分離発足(昭和27年)
・家畜伝染病予防法の概要
・戦後の動物の輸入検疫の推移
・動物検疫所の組織・配置と指定港
・偶蹄類・馬・家きん等の輸入検査
・主な家畜の輸入実績
・昭和30年代はじめと最近の主な家畜伝染病の発生状況(比較)
・10数年来の家畜衛生上の出来事
・人やモノの流れの推移
・牛肉の輸出目標の達成に向けて
・家畜の伝染病の主な侵入経路と対策
・昭和30年代前半の動物検疫所要覧から(輸入動物・畜産物の検査)
■資料のダウンロード:「 動物検疫_その歴史と今 」 [PDF 約3.5MB]