平成15年度 家畜輸出入に関するセミナー 要旨
「平成15年度 家畜輸出入に関するセミナー」が、平成16年3月19日(金)13時30分から、森永プラザビル
(東京都港区。
場所詳細:Yahoo-Map)
にて行なわれました。
国内外の家畜疾病(伝染病)の連続的な発生で、日本の畜産界、特に生体牛の輸入及び国内の食肉需給は大きな影響を受けています。
欧州でのBSE、それに継ぐカナダでの発生、15年12月末には米国での発生により、それぞれ生体牛及び牛肉が一時停止されました。
また、アジア各国での高病原性鳥インフルエンザの発生により、韓国をはじめ、ベトナム、タイ、インドネシア、
中国などからの鶏肉はもちろんのこと、生きた家禽等に一時輸入停止措置がなされました。
日本の食肉消費量の中で国産の占める割合は、牛肉で4割、豚肉で5割、最も多い鶏肉でも6割に過ぎず、
食肉供給の過半を輸入に依存している状況にあります。米国産牛肉は牛肉消費量の4分の1を占め、
タイ産及び中国産の鶏肉だけでも鶏肉消費量の6分の1を占めていました。輸入食肉は主に外食産業や量販店を中心に利用・販売されており、
国産や他国産の食肉への代替が模索されているほか、外食産業の中にはメニューの変更を余儀なくされているところも出ています。
一方、国内でも山口県下で79年ぶりとなる高病原性鳥インフルエンザの発生が確認されましたが、その後、大分県でも本病が確認され、
つい最近では、京都の飼養羽数約20万羽といわれる大型養鶏場にも拡散し、
社会的にも大きな問題となっている状況が連日新聞テレビなどで報道されました。
今回のセミナーでは、このような状況の中で進められている業務に関わる内容を取り上げ、以下のとおり3つの演題を設定致しました。
最近の畜産情勢について
課長補佐 高橋 様
■現行基本計画の現状と課題について
食料/農業/農村基本法やその詳細等の説明がなされました。
- 1.基本法から新基本法へ
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旧農業基本法の基本理念のポイントは「農業の発展と農業従事者の地位の向上」、「生産性と生活水準の
農工間格差の是正」であったが、平成11年7月、新基本法が「食料・農業・農村基本法」として新たに制定された。
新基本法においては、次の4つが基本理念となっている。「食料の安定供給の確保」、「多面的な機能の十分な
発揮」、「農業の持続的な発展」及び「農村の振興」である。
新基本法の4つの基本理念の実現に向けて、同法に示された施策の基本方向を具体化するため平成12年3月、
食料、農業、農村基本計画が閣議決定された。この基本計画は、情勢の変化、施策の効果に関する評価を
踏まえ、おおむね5年毎に見直すこととされている。次期計画については、平成15年~16年に検証・見直しに
入っており、平成17年3月までに策定することとして、現在予算に反映すべく作業中である。 - 2.我が国の食料・農業・農村をめぐる現状と課題
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・安全 / 安心に対する関心の高まり ("安全性" が "おいしさ" "価格" を上回る。食品表示への信頼性が低下)
・国内食料消費の変化と食糧自給率の推移
(米の消費は減少,畜産物や油脂類は増加,食の外部化が進む。主要先進国中最低水準の自給率)
・農業経営体/新規就農の動向
(農家戸数,農業就業者が減少・高齢化が進展しつつある。農業生産法人数や新たな農業就業者が増加)
・農業生産構造の動向 (農業経営規模は畜産などで拡大したが,土地利用型農業においては小規模経営が多)
・農地の動向 (面積はこの40年間で2割減少。耕作放棄地面積はこの5年間で3割増加,転用面積を上回り推移)
・農村 (農村の過疎化高齢化が進行。特に中山間地域で人口の社会減と自然減が深刻な問題)
・農業の有する多面的機能
■畜産経営をめぐる情勢
牛乳・乳製品、牛肉、豚肉などの需給動向及び夫々の経営の動向について、別紙資料に基づき種々説明が
なされました。
- 1.牛乳/乳製品の需給動向 (牛乳/乳製品の需給構造の概要(平成14年度),生乳の需給動向)
- 2.酪農経営の動向 (飼養動向,担い手の動向,収益性の動向,酪農経営飼養規模別生産コスト,労働時間)
- 3.牛肉の需給動向 (消費,国内生産,輸入,卸売価格,子牛価格)
- 4.肉用牛経営の動向
- (飼養動向,担い手の動向,収益性の推移,繁殖雌牛飼養規模別生産コスト,肥育牛飼養規模別生産コスト)
- 5.豚肉の需給/経営動向
- 6.鶏肉の需給/経営動向
- 7.鶏卵の需給/経営動向
- 8.自給飼料の生産状況
- 9.畜産環境対策の状況 (現状,施設整備計画,施設整備に向けた各種の支援策)
国内外の家畜衛生事情について
国際検疫班 課長補佐 辻山 様
■最近の家畜衛生をめぐる情勢について
別紙資料により説明がなされました。
- 1.国内防疫対策
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家畜伝染病予防法の概要、ここ数年の家畜伝染病の発生状況、BSE対策の推進状況、高病原性
鳥インフルエンザ対策、豚コレラ撲滅対策などについての説明及び現況。 - 2.国際防疫対策
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動物検疫の概要及び業務内容、海外のBSEや高病原性鳥インフルエンザ、口蹄疫の発生に伴う
日本の措置についての説明。
別紙資料により説明がなされました。
■国内における高病原性鳥インフルエンザの発生について
別紙資料により説明がなされました。
動検検疫について
調査課長 町田 様
別紙資料「動物検疫について」により、動物検疫所の組織、動物検疫の目的と検疫対象物、
動物検疫所の配置と指定港及び家畜衛生体系等について説明がなされました。
- 1.動物検疫の概要
- 動物検疫の沿革、動物検疫所の組織や国内の配置、指定港、検疫対象物とその目的、
動物の検査の流れなどの説明。 - 2.検疫統計
- 過去5年間の主な動物の輸入割合、輸入の推移、輸入頭数及び仕出地域などの説明。
- 3.IT対応
- 動物検疫所WEBページ、農水省のシステムを活用した電子申請についての説明。