2008/4/15
平成19年度 家畜輸出入に関するセミナー 要旨
「平成19年度 家畜輸出入に関するセミナー」が、平成20年3月27日(木)13時30分から、森永プラザビル
(東京都港区。場所詳細:Yahoo-Map)
にて
行なわれました。
1.我が国における家畜防疫体制 (※図1)
- 国は、都道府県、動物衛生研究所等と連携し、国内の家畜防疫に関する企画、調整、指導等を
実施するとともに、動物検疫所を設置し、国際機関とも連携して輸出入検疫を実施。
- 都道府県は、家畜防疫の第一線の機関として家畜保健衛生所を設置し、防疫対策を実施。
国は家畜保健衛生所の整備支援、職員の講習等を実施。
- また、全国、地方段階で家畜畜産物衛生指導協会等の自衛防疫団体が組織され、予防接種等
生産者の自主的な取り組みを推進。
2.家畜伝染病予防法の概要 (※図2)
- (1)目的
- 家畜の伝染性疾病の発生の予防、まん延の防止により畜産の振興を図る。
- (2)内容
-
- 家畜伝染病の発生を予防するため届出、検査等。
- 家畜伝染病のまん延を防止するため発生時の届出、殺処分、移動制限等。
- 家畜の伝染性疾病の国内外への伝播を防止するための輸出入検疫。
- 国、都道府県の連携、費用負担等。
- 生産者の自主的措置。
3.国内防疫の取り組み (※図3)
国は、家畜伝染病の発生予防やまん延防止の推進のため、飼養衛生管理基準と、重要な伝染病が
見つかった場合の対応に関する特定家畜伝染病防疫指針を策定、公表。
発生予防として衛生管理の徹底や届出、検査による発生状況の把握、ワクチン接種指導等を実施。
まん延防止として定期的な検査や発生があった場合の感染家畜の処分や移動制限などを実施。
また、安全な畜産物の生産や家畜の生産性維持の視点からも、衛生管理のための様々な対策を実施。
4.家畜伝染病予防法に基づく特定家畜伝染病防疫指針の作成 (※図4)
- 従来から、家畜の伝染性疾病の発生予防やまん延防止については、国がその対応方針を都道府県に通知。
- 特に総合的に発生の予防及びまん延の防止のための措置を講ずる必要のある家畜伝染病に関して、
国、地方公共団体、関係機関等が連携して取り組む家畜伝染病の発生及びまん延防止等の措置を
講ずるための指針(特定家畜伝染病防疫指針)を作成。
5.家畜伝染病予防法に基づく飼養衛生管理基準の設定 (※図5)
- 農林水産大臣が、特定の家畜についてその飼養に係る衛生管理の方法に関し、家畜の所有者が
遵守すべき基準(飼養衛生管理基準)を定めるとともに、家畜の所有者に当該基準の遵守を義務付け。
- 飼養衛生管理の徹底は、食品の安全性を確保するための生産段階における取り組みともなる。
6.動物検疫の取り組み (※図6)
- (1)目的
-
- 家畜の伝染性疾病の発生の予防、まん延の防止により畜産の振興を図る。
- 狂犬病予防法や感染症法に基づく狂犬病等の人獣共通感染症の侵入防止
- (2)体制
-
- 家畜防疫関係については、動物衛生課において海外情報を収集し、輸入禁止措置、輸入時の衛生
条件等の設定、対日輸出施設の査察や現地調査を企画、実施。
- 動物検疫所(横浜に本所,全国に6支所,17出張所を設置し,337人の家畜防疫官を配置)において
「家畜伝染病予防法」等に基づき指定された港及び飛行場において輸出入動物及び畜産物等の
検査及び検査に基づく措置を実施。
7.動物検疫のしくみ (※図7)
8.家畜伝染病の発生状況 (※図8)
- 従来、全国的に発生のあった炭疽、結核病、豚コレラなどは清浄化が進展。
- 平成12年3月に92年ぶりとなる口蹄疫が発生したが、発生以降半年で清浄化を達成。
- 平成13年9月に牛海綿状脳症(BSE)が確認され、牛肉消費に大きな影響。以降34例の発生を確認。
- 平成16年1月に79年ぶりとなる高病原性鳥インフルエンザが発生。4件の発生で終息。
- 平成17年6月に弱毒タイプの高病原性鳥インフルエンザが発生。
- 平成19年1月に高病原性鳥インフルエンザが発生。4件の発生で終息。
- その他、ヨーネ病が全国に浸潤発生。
9.高病原性鳥インフルエンザ対策
(1)平成17年までの発生と対応 (※図9)
(2)平成19年の発生と対応 (※図10)
(3)平成19年の発生を受けた対応 (※図11)
(4)海外のおける発生状況とそれに伴う我が国の措置 (※図12)
10.BSE対策
- (1)我が国におけるBSEの発生状況 (※図13)
-
- 13年9月に初めてBSEが確認され、その後現在までに と畜検査で22頭、死亡牛検査で
12頭の発生を確認。
- BSE感染牛を出生年別にみると、平成8年生まれが12頭、平成12年生まれが11頭と多くなっている。
- 8例目は23か月齢、9例目は21か月齢の若齢牛での確認。
- 18年3月に確認された24例目、19年7月に確認された33例目及び同年12月に確認された34例目の
3例は黒毛和種での確認。
- 8例目及び24例目は、検出された異常プリオン蛋白質の性状が定型的なものと異なるとされている。
- (2)BSE対策の実施状況 (※図14)
-
- と畜場におけるBSE検査体制及び特定部位の除去体制の確立。
- 肉骨粉等の飼料原料の給与規制等によるBSE感染経路の遮断。
- 24か月齢以上の死亡牛についての届出義務とBSE検査体制の確立。
- (3)海外におけるBSE発生状況 (※図15)
- (4)世界のBSE発生件数の推移 (※図16)
- (5)海外のBSE発生に伴う措置、各国におけるBSE対策の概要 (※図17)
- (6)米国産牛肉輸入問題の経緯 (※図18-1,18-2,18-3)
(※図15) |
(※図16) |
(※図17) |
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(※図18-1) |
(※図18-2) |
(※図18-3) |
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11.ヨーネ病対策 (※図19)
- 牛に慢性の下痢を起こさせる細菌(ヨーネ菌)による伝染病。
- 従来から定期検査による摘発とう汰、導入時の陰性証明確認の指導を実施。
- 発生増加を受け、防疫対策要領を策定し、全国的に対策を強化。
12.豚コレラの清浄化 (※図20)
- ウイルスにより起こる豚の伝染性疾病で、高い発病率と致死率が特徴。
- 明治21年(1888年)に北海道において、初めて発生して以降、大きな被害をもたらしてきたが、
昭和44年に弱毒生ワクチンが開発され、組織的なワクチン接種が行われるようになり、発生は激減。
- 平成5年以降発生がないことから、養豚先進国と同様にワクチンを用いない防疫体制の確立による
清浄化を目指し、対策を開始。
- 平成19年4月1日、ワクチン全面中止後1年経過したことから、清浄国となった。
13.オーエスキー病の防疫対策の現状 (※図21)
- 平成3年から防疫対策要領に基づき定期的な抗体検査の実施、野外ウイルス抗体陰性豚の導入の推進、
臨床症状を呈している豚及び野外ウイルス抗体陽性豚が確認された場合は、早期とう汰の実施等により、
発生予防と清浄化を推進。
- 本病の浸潤状況は地域により差があり、地域別に対策を推進。
14.オーエスキー病対策の今後の取り組みについて (※図22)
- 飼養衛生管理基準の遵守
- 定期的なモニタリングの実施
- 効果的なワクチン接種の徹底
- 感染豚の計画的とう汰
- 移動時の清浄性確認
15.養豚農場における衛生対策の推進方向 (※図23)
- 農場によっては、PRRS(豚繁殖呼吸障害症候群)、PMWS(離乳後多臓器性発育不良症候群、サーコウイルス
等の混合感染)をはじめとする豚呼吸器複合感染症により事故率が上昇しており、疾病コントロール事例等を
参考に飼養方式改善も含めた飼養衛生管理対策の徹底が重要
- 養豚主産地域を中心に、地域の生産者、獣医師、家畜保健衛生所等の関係者が一体となった面的な取り組みを開始
- 農林水産省では、豚サーコワクチンの承認や地域の取組支援を実施
16.農場段階におけるHACCP方式を活用した衛生管理の推進 (※図24)
- 農家段階におけるHACCPの考え方を取り入れた「衛生管理ガイドライン」及び「鶏卵のサルモネラ総合
対策指針」を策定。
- 家保、生産者、畜産関係団体、地元獣医師等地域一体となり生産段階へのHACCP手法の普及・定着の
取り組みを実施。
- 平成19-20年度は、HACCP方式を活用した衛生管理が行われている農場について認証基準を策定・普及。
- さらに、平成20-22年度は、認証取得を促進するための農場指導員を養成(平成20年度予算案)。
17.畜産物の安全性確保のための取り組み (※図25)
消費者に安全な食料を供給するためには、生産段階から消費段階にわたって安全を確保することが必要。
18.最近の動物検疫所における疾病摘発について
- ■JLTA 事務局から■
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農林水産省は、農林水産省WEBサイト
にて各種情報を公開しています。
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(※ 図をクリックすると拡大できます)
(※図1)
(※図2)
(※図3)
(※図4)
(※図5)
(※図6)
(※図7)
(※図8)
(※図12)
(※図13)
(※図14)
(※図19)
(※図20)
(※図21)
(※図22)
(※図23)
(※図24)
(※図25)
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