2019/ 6/10 更新

平成30年度 家畜輸出入に関するセミナー

平成31年3月14日、「平成29年度 家畜輸出入に関するセミナー」 を開催しました。


開催にあたって
 昨年末のTPP11、先月にはEPA協定の発効と新たな関税ルールの時代となり、当協議会の活動に大きく関係することはご承知のことと存じます。
 国内においては、2020オリンピック・パラリンピックに向けてのインバウンドや輸出促進の着実な歩みが続いており、当協議会関係では生体牛の国内価格動向等により海外牛導入に関する相談が増加しております。
 家畜輸入についてはその資源、価格、輸出国及び日本での飼養管理、検疫、輸送に要するコスト等を総合的に検討しての実行となります。そのため、当協議会会員一同は畜産物需給や消費動向、海外情勢、為替動向を注視しつつ、畜産農家の要望に沿った国内共有を通じて、我が国の畜産振興に寄与して参りたいと考えております。
 近隣諸国では、依然として鳥インフルエンザ、口蹄疫、アフリカ豚コレラの発生が続いています。とりわけ、昨年来の中国並びにモンゴルでのアフリカ豚コレラの続発情報に接しますとき、動物検疫所をはじめとする関係機関の連携による徹底した水際防疫がなされていることに感謝いたしますとともに、当協議会でも健康な家畜の輸入に努めるべく心新たにしております。
 当協議会では、毎年3月に畜産や家畜の疾病等をテーマとしてセミナーを開催しておりますなかで、本年は「豚コレラとアフリカ豚コレラ」と「動物検疫が実施する遺伝子検査について」につきまして、2名の講師に講演いただきます。
 この度のセミナーが、皆様の知見の向上と業務遂行に役立ちますよう祈念いたします。
平成31年3月   一般社団法人 日本家畜輸出入協議会
理事長 野澤 毅一郎


準備中_山川氏

「豚コレラとアフリカ豚コレラ」

国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構
動物衛生研究部門 海外病研究調整監
山川 睦 氏

■主な内容
・我が国における位置付け
・アフリカ豚コレラと豚コレラ
・開発ワクチンにより我が国から豚コレラを完全撲滅
・豚コレラについて(26年ぶりに国内で発生)
・伝播様式
・発生状況(2018年9月現在)
・病態(急性感染と慢性感染)
・豚コレラを疑う症状(特定家畜伝染病防疫指針より)
・防疫措置対応(概要)
・岐阜県及び愛知県における豚コレラ感染猪発見地点(平成31年3月)
・遺伝子系統樹
・豚コレラとアフリカ豚コレラ診断体制(特定家畜伝染病防疫指針)
・アフリカ豚コレラについて
・伝播様式
・発生状況(2007年~。2017年以降さらに拡大傾向にある)
・欧州やロシア等における発生状況(2007年~)
・中国やモンゴル、ベトナムにおける発生状況(2018~。危機的状況)
・臨床症状と病変
・アフリカ豚コレラと豚コレラんお病態の比較(似ているようで全く異なる)
・アフリカ豚コレラの感染実験
・アフリカ豚コレラの日本への侵入リスク
・海外家畜伝染病の予防(侵入防止)対策

準備中_柳澤氏

「動物検疫所が実施する遺伝子検査について」

農林水産省動物検疫所
精密検査部 病理・理化学検査課長
柳澤 成江 氏

■主な内容
(1)動物検疫所は何の検査をしているか
・英語"quarantine"の語源は、イタリア語で40を指す"quarantna"。昔、船内で伝染病が発生しないか停泊期間を設けた。
・監視伝染病を対象に検査する
・リスク評価に基づき、検査すべき疾病に優先順位を付けている。
(2)どんな検査方法があるか
・病原体を見つける「病原学的検査」
・免疫抗体を見つける「抗体検査」
(3)検査方法をどのように選んでいるか
・最適な時期に最適な検査方法を実施し、感染を見逃さない。
・感染~潜伏期~発病~回復
・疾病の特徴や感染経路を考えながら、病原学的検査と抗体検査を組み合わせて検査する。
(4)検査結果を解釈する
・病原体の分離。抗体価の上昇などによる判断。
・1つの検疫群内のいずれかの個体が検査で陽性になるように検査を組んで見逃しを防ぐ。
(5)遺伝子検査とは
・監視伝染病の病原体の遺伝子を検出する検査。
・培養検査に先立ち、迅速に判定できる遺伝子検査を用いる。
(6)遺伝子検査の原理
・生体内でのDNAの複製方法を人工的に再現したものが「PCR(Polymerase Chain Reaction)法」。
・プライマーは、その病原体にしかない特異な配列で、塩基配列が簡単に変異しない安定的な部分が適している。
(7)PCR法の手順
・採材~遺伝子の抽出~遺伝子の増幅~電気泳動~判定
・リアルタイムPCR法について。
(8)ヨーネ病定量リアルタイムPCR法の紹介
■資料のダウンロード:「 動物検疫所が実施する遺伝子検査について 」 [PDF 約1.6MB]